目の仕組み

老眼の改善方法!原因から老眼症状の改善法まで解説!

若い人の多くは、老眼(老視)など大したことがないと思っているかもしれませんが、実際、老眼になってみると、想像よりもずっと不便でわずらわしいものです。40歳頃になると誰もが「老眼」を経験しますが、最近では若い人たちの間で、「スマホ老眼」と呼ばれる症状に悩まされる人も増えてきたようです。この記事では、加齢現象の1つでもある「老眼」について、原因や予防法を解説します。

作成日:2022/12/15 更新日:2024/11/13

コンタクトレンズを持つ女性と眼鏡をかけた男性
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老眼が起きる原因

老眼が起きる原因

老眼の原因は、目のピント調節機能の衰えです。
目の中には、カメラのレンズのような働きをする水晶体(すいしょうたい)という組織があります。私たちの目は、この水晶体の厚みを、見ようとするものの距離に合わせて変化させることで、いわゆる「ピントが合った」状態を保っています。しかし、年を重ねると水晶体の弾力性が徐々に失われていくため、水晶体の厚みを変えることが難しくなります。特に、近くのものを見る場合には、水晶体の厚みを増す必要がありますが、加齢に伴って水晶体の弾力性が失われてくると、厚みを増すことが難しくなり、近くのものにピントが合いにくくなります。この状態がいわゆる「老眼」です。

十分に調節できる場合 十分に調節できない場合 イメージ図

多くの人は40歳頃から、近くを見るときピントが合うのに時間がかかるなど、徐々に老眼の症状に気づくようになります。なお、遠くを見るときにもピント合わせが必要な遠視の方の場合、遠視を矯正していない状態では老眼の症状をより早く自覚することが多いようです。

老眼の症状

老眼の症状

老眼の初期には、「手元に視線を移すとピントが合うのにちょっと時間がかかる」、「暗いと手元にあるものが見えにくい」、「極端に文字が細かいと読みにくい」などの症状を経験することが多いようです。老眼が進行するにつれて、「離さないとピントが合わない」、「明るい所でも手元にあるものが見えにくい」、「眼鏡をかけたままでは近くが見えにくい(近視の方の場合)」などの症状が現れます。
また、老眼を矯正していない状態では目が疲れやすくなり、眼精疲労になることがあります。ひどい場合には、頭痛や肩こり、吐き気などの症状が現れる場合もありますので、早めの対処が重要です。

老眼の矯正方法

老眼の矯正方法

「老眼は年を重ねれば誰もが経験することだから大したことはない」などと考えていませんか?老眼を軽く見て何も対処しなかったり、自分の目に合っていない老眼鏡を使ったりしていると、眼精疲労など目の不調を招くことがあり、ひどい場合には目以外にも体のさまざまな場所に不調が現れます。老眼は、眼鏡やコンタクトレンズを使って矯正することができます。「老眼かな?」と思ったら、早めの対策が大切です。

眼鏡の使用1),2)

老眼の矯正方法として、まず挙げられるのが老眼鏡です。最近は、いろいろな種類の老眼鏡が販売されていますが、一般的に「老眼鏡」と呼ばれているのは、手元を見るとき専用のもの(単焦点レンズ)です。

一方、手元だけでなく、さまざまな距離にピントが合うようなレンズが使用されている眼鏡もあり、このタイプのレンズは「多焦点レンズ」と呼ばれています。多焦点レンズには、異なる度数の部分の間にくっきりと境目がある「二重焦点レンズ」や「三重焦点レンズ」のほか、レンズの度数が連続的に変化し、レンズの境目がない「累進屈折力レンズ」というものがあります。また、累進屈折力レンズにはさらに、遠くも近くも見える「遠近両用レンズ」、室内用の「中近両用レンズ」、手元とその周辺を見るための「近近両用レンズ」などの種類があります。

コンタクトレンズの使用1),3)

遠近両用コンタクトレンズにも、「二重焦点型(バイフォーカルタイプ)」、「三重焦点型(トリフォーカルタイプ)」、「累進屈折力型(マルチフォーカルタイプ)」、「焦点深度拡張型」と、さまざまな種類のものがあります。また、度数配置のデザインや光学的機能によってもさまざまな種類に分けられます。

遠近両用コンタクトレンズの選択にあたっては、それまでに、コンタクトレンズの使用経験がある人は、遠近両用に変えるときも、原則として同じ種類(ハード・ソフトなど)のレンズを選ぶと、装用感やハンドリング、ケアという点で慣れやすいと考えられます。一方で、コンタクトレンズ未経験者の場合には、基本的にソフトコンタクトレンズを選ぶと良いとされています。

なお、老眼の矯正にコンタクトレンズを使用する場合には、眼鏡と併用したり、モノビジョン(片方の目は近くが見えるように矯正し、もう片方の目は遠くが見えるように矯正する)法を用いたり、遠くの見え方を低矯正(近視の方の場合)にして、近くを見えやすくするといった方法も行われています。

しかし、最終的にどの方法が良いのかは目の状態により異なりますし、その矯正法が作る「見え方」との相性の問題もありますので、眼科で相談するようにしましょう。

屈折矯正手術

最近は、屈折矯正手術(近視、遠視、乱視といった屈折異常を矯正する手術)の普及に伴い、老眼に対しても手術を希望する人が徐々に増えています。老眼を考慮した屈折矯正手術として、「モノビジョンレーシック」と「多焦点眼内レンズ」を使用する方法があります。

モノビジョンレーシックは、片方の目は遠くが見やすいように、もう片方の目は近くが見やすいように屈折を矯正し、両方の目で見た時に遠くも近くも見えるようにするレーシックです。手術自体は比較的簡単ですが、モノビジョンの見え方が合わなかったり、そもそもレーシックが受けられない目の場合もあるので、眼科での検査が必要です1),4)

多焦点眼内レンズを使用する方法は、調節力を失った水晶体を、多焦点眼内レンズに置き換える方法です。多焦点眼内レンズは1枚のレンズの中に複数の度数が入っていることで、近くから遠くまで見えることを目的としたものです。レンズの種類によって光学特性が異なるため、術後にどのような見え方を希望するのか、事前に医師とよく話し合うことが大切です。また、術後にも適切なケアを受ける必要があります1),3)

老眼と眼精疲労の関係性

老眼と眼精疲労の関係性

老眼の初期では、「全くピントが合わない」わけではなく「頑張れば近くも見える」ため、老眼を矯正しないで過ごしてしまうこともあるかもしれません。しかしこの状態で、長時間の近業を続けていると、目が疲れやすくなり、眼痛・目のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状のほか、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状を伴う眼精疲労が出現することがあります5)。また、急速なIT機器の普及により、近年、多くの人々が、パソコンやスマートフォンなどを使用する機会が増加し、それに伴い、疲れ目や眼精疲労などのVDT(Visual Display Terminal)症候群(画面の見すぎなどによって、心身にさまざまな不調をきたす健康障害)と呼ばれる健康障害が増加し、目だけでなく体のさまざまな部分に影響が及ぶことが懸念されています。
さらには、社会の高齢化に伴い、わが国では60歳を過ぎても働く高齢者が増加しています。老眼の矯正がなされない、または不十分な状態で長時間の近業を行うことは眼精疲労や生産性の低下を招きます。作業に適した矯正をするようにしましょう。IT機器の画面を長時間見すぎたときは、十分に目を休ませた上で、少し熱めの蒸しタオルを目に当てると、血液の循環が良くなり疲労回復が早まることが報告されています6)。また、目の周辺のマッサージにも目の疲れの緩和に有効とされています7)
しかし、このような対策を行っても目の疲れがなかなかとれない場合には、何か病気が隠れているかもしれません。早めに、眼科を受診しましょう。

老眼を予防するには?

老眼を予防するには?

老眼を予防するには、年齢に関係なく、目を大切にする習慣が大切です。また、老眼の発症には、紫外線の過剰な曝露と栄養不足が関与しているとされています8)。以下のポイントを、日頃から意識してみましょう。

目の紫外線対策を行う

紫外線が白内障のリスクファクターであることはよく知られていますが9)、ある研究によると、紫外線の曝露量が多い地域で暮らしている人は、暴露量が少ない地域の人よりも、老眼の発症年齢が若い傾向にあることが示されています10)。紫外線は、老眼以外にも目に有害とされていますので、日頃から目の紫外線対策を行いましょう。

目の健康に良いサプリメントや食事を摂取する

現時点で、老眼を治す薬物やサプリメント(栄養補助食品)はありませんが、近年、食品や食品成分、サプリメントなどに含まれているいくつかの栄養素が、眼精疲労や視機能の改善に効果を示し、老眼の予防や老眼の遅延に効果を示すことが報告されています8),11),12)
目に良いとされている栄養素には、ルテイン、アスタキサンチン、アントシアニン、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ビタミンA、ビタミンB群、β-カロテンなどがあります。これらの効果をきちんと評価するには長期の継続使用が必要であり、まだ課題はありますが、目に良いとされる栄養素を含む栄養バランスの取れた食生活は、老眼の予防に好影響を及ぼすことが期待されます。これらを含む食品を摂取するよう心がけましょう。

まとめ

まとめ

「老眼」と聞いても、大した問題ではないと思う人もいるかもしれません。しかし、老眼を放置するとさまざまな体の不調につながることがあるため、対策がとても重要です。最近では、性能の高い遠近両用のコンタクトレンズも登場しており、老眼の煩わしさから解放されつつある状況になってきました。
「老眼かな?」と感じたら、生活に支障が出る前に、早めに眼科を受診して適切な対策をとりましょう。

※:スマホ老眼は、スマートフォンなどの画面を近距離で見続けることにより現れる症状で、疾患名ではありません。

<参考資料>

1) 日本老視学会:老視矯正の治療法
https://www.rousi.jp/general

2) 公益社団法人 日本眼科医会:目についての健康情報 40代で始まる目の老化
https://www.gankaikai.or.jp/health/37/index.html

3) 前田 直之 他 編:「新篇眼科プラクティス 9 必読! コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2023

4) 安心LASIKネットワーク:レーシックで老眼は治療できる!知っておきたい手術の概要
https://safety-lasik.gr.jp/presbyopia/

5) 厚生労働省:情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf

6) 井垣 通人 他:日職災医誌 62(1):8-16, 2014
http://www.jsomt.jp/journal/pdf/062010008.pdf

7) 加藤 雅俊:「ホントによく効く リンパとツボの本」 増補改訂版 日本文芸社, 2023

8) Naroo SA, et al.:Contact Lens Anterior Eye 47(4), 102191, 2024
https://www.contactlensjournal.com/action/showPdf?pii=S1367-0484%2824%2900083-3

9) 日本白内障学会:白内障と疫学研究
http://www.jscr.net/ippan/page-007.html

10) Miranda MN:Trans Am Ophthalmol Soc 77:603-621, 1979

11) Kono K, et al.:Curr Med Chem 14(2):114-125, 2014
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4997915/pdf/IEMAMC-14-114.pdf

12) 久保 江理:眼科 61(11):1291-1294, 2019

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