私たちの目はどこか1カ所しかピントが合わないわけではなく、遠くから近くまで、いろいろな距離にある物を見ることができます。子どもの頃や、20代・ 30代くらいまでは、不思議に思うことさえないのですが、実はこれはとても複雑で精巧な、目と脳のなせる業なのです。まずはその仕組みを理解していきましょう。
私たちの目は、見ようとしているもの[これを、視標(しひょう)といいます]が発している光を感知して、その情報を脳に送り、最終的には脳で物を見ています。見ている物が遠くにあるときは、視標からの光は平行な光線として目に達し、目がその光をきちんと通して、正しく集めて、網膜上に焦点が来ると、視標がはっきり見えるということになります。これが「遠くがよく見える」ときに目で起きていることです。