瞳孔は、虹彩(こうさい)と呼ばれる円盤状の筋肉の膜の中央にある孔です。鏡で目を正面から見ると、いわゆる黒目(角膜)の中央に、より黒い丸があるのがわかります。ここが瞳孔です。瞳孔は、角膜を通ってきた光をさらに目の奥に通す入り口になっています。虹彩はカメラの絞りに相当し、伸びたり縮んだりすることで、瞳孔の大きさを変化させます。
恋愛すると瞳孔が開く?アイコンタクトとの関係性は?
作成日:2022/12/13 更新日:2024/11/13
瞳孔とは
瞳孔はどんなときに変化する?1),2)
瞳孔は、虹彩に存在する瞳孔散大筋と瞳孔括約筋の作用によって、大きくなったり小さくなったりします。虹彩は周囲の明るさに応じて伸びたり縮んだりすることで、目に入る光の量を調節しています。瞳孔の大きさは、明るいところでは目に入る光の量を少なくするため小さくなり(縮瞳)、反対に暗いところでは多くの光を取り入れるため大きくなります(散瞳)。
また、瞳孔の動きは自律神経(交感神経、副交感神経)と呼ばれる神経によって支配されており、交感神経が優位に作用すれば散瞳し、副交感神経が優位に作用すれば縮瞳します。
交感神経が優位に働くのは、精神的な興奮状態や緊張状態にあるときで、具体的には、恋愛感情が高まったとき、高揚感のある音楽を聴いているとき、スポーツ観戦中のクライマックスシーンなどです。興味や好意を持つ人や物に対して興奮状態になり、交感神経が優位に働くと瞳孔が大きくなります。逆に、興味がない場合で、副交感神経が優位に働くと、瞳孔が小さくなります。
瞳孔とアイコンタクトとの関係性
お互いに視線を交わすアイコンタクトは、相手との関係を親密にするコミュニケーション手段の1つです。恋愛においても、相手に好意的なアイコンタクトを送ることは重要ですが、アイコンタクトは長すぎても短すぎても不快に思われる可能性があります。ではいったい、どのくらいの時間が適切なのでしょう。
イギリスの科学雑誌 『Royal Society Open Science』 に掲載された、アイコンタクトに関する研究2)では、被験者の瞳孔反応から、アイコンタクトの適切な長さが調査されました。11歳から79歳までのボランティア498人(男性224人、女性274人、平均年齢29.9歳)に、モニターから57cm離れた位置に座ってもらい、俳優がじっと見つめてくるビデオを見てもらったところ、心地よいとされるアイコンタクトの時間は約3.3秒であることがわかりました。また、長い時間アイコンタクトしたい人ほど、より早く瞳孔が開くこともわかりました。
もし、気になる相手がいる場合には、まずは3.3秒、アイコンタクトしてみましょう。相手の瞳孔が開いていたら、さらに長く見つめてみてもいいかもしれません。
まとめ
あなたを見つめている人の瞳孔が開いていたら、その人は、あなたに好意を抱いている可能性があります。逆に、もしあなたが相手にさりげなく好意を伝えたいのであれば、アイコンタクトを上手に活用してみましょう。アイコンタクトは、長すぎても短すぎても、不快に感じられてしまうことがあるので、適度に視線を外しながらコミュニケーションすると良いでしょう。
<参考資料>
1) 医療情報科学研究所 編:「病気がみえる vol.12 眼科」 第1版 メディックメディア, 2019
2) Binetti N, et al.:R Soc Open Sci 3(7):160086, 2016