「目がチカチカ」する症状は、「目の異常」だけではなく「脳の異常」によっても生じることがあります。目は物を見るのに重要ですが、最終的に物を見ているのは脳なのです。(1)外部の情報を目で受けとる、(2)目から脳へ情報を伝える、(3)目から入ってきた情報を脳で処理する、という3つのプロセスが全てうまくいって初めて、「物が見える」という感覚(視覚)が生まれるのです。そのため、このプロセスのどこかに異常があると、「目のチカチカ」など、視覚に関する症状が現れることがあるのです。
目がチカチカする原因とは?脳からくる場合も?
作成日:2022/12/8 更新日:2024/11/13
目がチカチカする・ ・ ・ 原因は?
目に問題が起きている
「目がチカチカする」という表現は、さまざまな症状に用いられると思いますが、まずは「光視症(こうししょう)」について説明していきます。光視症とは視界の一部に光が走る症状で、光のないところにいても自覚することがあります。光視症は、目の奥にある「網膜」という部分が刺激を受けることで起こります。網膜は光を感じて脳が理解できる信号を作り出す部分なのですが、光以外の物理的な刺激を受けた際にも、「光がきたよ」という信号を誤って脳に送ってしまうことがあるのです。実際にはない光があるように感じられてしまうので、暗いところにいても光視症を自覚することがあります。
光視症の多くは、加齢に伴って起こります。加齢とともに、目の内部を満たしている硝子体(しょうしたい)というゼリー状の物質が次第に網膜からはがれてくるのですが、このときに硝子体が網膜を引っ張ると、網膜がその物理的な刺激を光として脳に送ってしまうため、光が走ったという感覚が生まれてしまうのです。この、加齢に伴って硝子体が網膜からはがれてくる現象は後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)と呼ばれます。それ自体は誰にでも起こりうるものであり、病気ではありません。しかし、硝子体が網膜を引っ張っているという状態は、まれに病気の原因になることがあります。
また、眼精疲労になった場合にも、「目がチカチカする」と感じることがあります。眼精疲労とは、目を酷使しすぎたことによって、疲労感がなかなか回復しなくなってしまった状態のことです。目のかすみやゴロゴロ感、目の奥の痛み、まぶたのけいれんなども生じます。日頃から十分な睡眠と休息をとるように心がけましょう。
ほかにも、「まぶしく見える」ことを「目がチカチカする」と表現する方もいらっしゃるでしょう。まぶしさは、ドライアイや初期の白内障、目の傷や目の中の炎症などさまざまな病気が原因で感じることがあります。
脳に問題が起きている
脳の異常による「目のチカチカ」の原因として有名なのは、「閃輝暗点(せんきあんてん)」という現象です。この現象は、脳の血管が収縮して一時的に血の流れが変化することで起こると考えられています。実際の症状としては、はじめに視野の一部分に光が見え、それが次第に視野全体に拡がっていき、この状態が10分程度で回復する、という経過をたどることが多いようです。「目のチカチカ」が治まった後に、片頭痛が起こることもあります。
ほかにも、立ちくらみしやすい人では、急激に姿勢を起こした際に「目がチカチカする」と感じる場合があります。また、妊産婦さんに起こる「妊娠高血圧症候群」では、失神やけいれんといった合併症を起こすことがあり、その前ぶれとして「目のチカチカ」を感じる場合があります。
目の病気が疑われる場合の検査方法とは?
後部硝子体剥離自体は病気ではないのですが、硝子体が網膜からはがれる時に、網膜に穴が開いたり出血が起きたりすることがまれにあります。このため、光視症の訴えがあった場合、網膜に異常がないか調べる「眼底検査」を行うことがあります。眼底検査とは、網膜を含む眼底の状態を調べる検査のことです。検査の内容によっては、半日ほどまぶしく、見にくくなる検査用の点眼薬を使う場合がありますので、眼科を受診する際は車両の運転を控えたほうが安心かもしれません。
そのほかにも屈折検査、視力検査、細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ:顕微鏡を使って目の構造を拡大しながら観察する検査)、眼圧検査などが行われます。
病気がみつかったら?
万が一、眼底検査で網膜に異常が見つかった場合には、状態に応じて治療が行われます。網膜が硝子体に引っ張られて穴があいたり(網膜裂孔:もうまくれっこう)、その穴が原因で網膜が眼球壁からはがれてしまったり(網膜剝離:もうまくはくり)、といった重大な病気が眼底検査で発見される場合があるのです。早めに発見できれば、より負担の少ない治療で済むこともあります。早めの眼科受診が安心ですね。
また、閃輝暗点や妊婦高血圧症候群などのケースでは、各専門の科の先生を受診するようにしましょう。
まとめ
「目がチカチカする」といっても原因はさまざまです。重大な病気が潜んでいる場合もありますので、早めに眼科を受診するようにしましょう。