目や目の周りが痛い原因とは?
作成日:2024/11/13 更新日:2024/11/13
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どんな痛み?
目が痛いなと思ったら、まずはどんな痛みが、どんな時に、どの部分に生じるのかを整理してみましょう。あなたの感じている目の痛みは「チクチク」「ゴロゴロ」「ヒリヒリ」「ズキズキ」などで表現できますか?あるいは「ズーンと重たいような」「頭痛のような」という表現が近いでしょうか?その目の痛みは常に感じていますか?時々だとするとどんな時でしょうか?初めて「目が痛い」と感じた時から悪くなっていますか?目が痛い、といっても、目のどこでしょうか?目の表面、まぶた、まぶたの奥、まぶたの表面、目の奥の方・・・
「目が痛い」以外の症状はありますか?見え方は変わっていませんか?目は赤くなっていませんか?目の痛み以外の症状も確認してみましょう。
「目が痛い」原因は病院を受診しないとわかりませんが、ご参考までに代表的なものを、痛みの部位別に挙げました。
部位別:目が痛くなる代表的な病気
目の表面:くろ目(角膜)・しろ目(結膜)
目の表面の痛みの原因となるものには、次のようなものがあります。軽微なものでは、目の表面に異常があっても痛みを感じないこともあります。
異物が目に入った
目の表面は感覚がとても敏感です。目に入った異物がとても小さいものであったとしてもゴロゴロしたりチクチクしたりして、涙もたくさん出ます。また、目もだんだん赤くなってきます。異物が目の表面にある状態でこすったりすると目の表面を傷つけてしまうので、こすらないようにしましょう。
装用しているコンタクトレンズが破損している
コンタクトレンズをお使いの方の場合、装用しているコンタクトレンズに破損があると、ゴロゴロとした目の痛みにつながります。装用する前にコンタクトレンズに異常がないかどうか、十分に確認するようにしましょう。ソフトコンタクトレンズの場合、コンタクトレンズの中央あたりに破損があると、装用する前にしっかり確認しても視認することが難しいこともあります。異常はないと思って装用しても、装用するとゴロゴロする場合には装用を中止するようにしましょう。また、新品のレンズでもまれに破損がある場合もありますので新品のレンズも装用前に異常がないか確認するようにしましょう。
角膜に傷がついた・角膜がむけた
角膜はとりわけ感覚が敏感な部分です。角膜に傷がついたり、角膜の最も表面の部分だけがむけてしまったりすると目の痛みの原因になります。痛くて目を開けられないという激しい症状の場合もあります。また、涙がたくさん出る、かすんでよく見えない、などの症状を伴うこともあります。しかし、角膜の傷は種類や程度によっては全く自覚症状がない場合もあります。
ドライアイ
ドライアイとは、涙の量や質(安定性・蒸発のしやすさ)に異常をきたした結果、目の表面が乾きやすくなる病気です。目の表面が乾くと、充血・目やに・見え方の異常(ぼやけてみえる)・異物感(ヒリヒリ・ゴロゴロ)などが現れます。また、目の表面が乾燥のために傷になってしまうこともあります。
炎症
炎症はさまざまな原因で起こります。雪目、といわれるものは、短時間に大量の紫外線にさらされることで起きる、角膜と結膜の炎症です。充血して涙が出て、ヒリヒリ、ゴロゴロ、といった痛みが出ます。物理的な原因としては紫外線のほかに、薬剤・熱・外傷も目の表面に炎症を起こすものとして挙げられます。中でもアルカリ性の化学物質は重症化するケースが多いため、直ちに大量の流水で洗浄し、治療を開始する必要があります。
細菌やウイルスといった微生物も炎症を起こす原因になります。アデノウイルスというウイルスが起こす結膜炎は俗に「はやり目」といわれ、その名のとおり非常に感染力が強く、涙や目やにを介して周りの人にうつっていきます。大量の目やにが出て、目は真っ赤になり、ゴロゴロした痛みを伴います。花粉症に代表されるアレルギー性結膜炎でも、かゆみや目やに、涙とともに、ゴロゴロすることがあります。
角膜の傷に微生物が感染すると、角膜に炎症が起こります。この場合には目やにや充血、痛みのほかに、まぶしく見えたり見えにくくなったりすることがあります。
まつ毛やまぶたの異常
まつ毛の生え方に問題があってまつ毛が目の表面を突っついてしまう睫毛乱生(しょうもうらんせい)という状態では、チクチクしたり目が傷になったりすることがあります。また、まつ毛の生え方は問題がなくても、まぶたが目の方に丸まってしまっている眼瞼内反(がんけんないはん)では、まつ毛が目の表面を突っついてしまいます。小さい子供の眼瞼内反は、成長とともにまぶたが外側を向いてくることが多いので、基本的には経過観察となるようですが、目の状態によります。
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まぶた
霰粒腫(さんりゅうしゅ)
まぶたの中にしこりができる病気です。小さい場合には気づかないこともありますが、大きくなるとまばたきのたびに、異物感を感じるようになります。炎症を伴う場合には赤く腫れて、ズキズキ、ゴロゴロといった目の痛みを伴います。
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
俗に「ものもらい」と呼ばれている病気です。まぶたにある分泌腺や、まつ毛の毛根に細菌が感染して炎症を起こしている状態です。まぶたが赤く腫れ、まばたきをしたり、触ったりしたときにズキズキ、ゴロゴロとした痛みを感じることがあります。
目・目の奥・目の周り
目の周囲には、視神経(ししんけい)という目と脳をつなぐ神経・目を動かすための筋肉・脂肪・副鼻腔(ふくびくう)という頭蓋骨がつくる空洞などがあります。目そのものだけでなく、これらの部位に異常があるときにも、目の奥や目の周りが痛いと感じることがあります。代表的なものには、次のようなものがあります。
急性緑内障発作
目の内部の圧力(眼圧)が急激に上昇し、さまざまな症状に襲われる発作のことです。目の痛みのほかに、目の充血、かすみ目、頭痛、吐き気などの症状も現れます。失明してしまうこともある病気ですので、このような症状が現れたときは、すぐに救急外来を受診して下さい。
視神経炎
目の奥には、目と脳をつなぐ太い神経(視神経)があります。この視神経に、炎症が起きた状態です。典型的な症状としては、目や目の周りの痛み、急激な視力低下、眼球運動時痛(目を動かすと痛みを感じる状態)、視野や色覚の異常などです。
目の炎症:虹彩炎、強膜炎
目をよく見ると、ブヨッとした膜(結膜)の下に眼球自体を構成している白い膜があるのがわかります。これを強膜(きょうまく)といいますが、ここに炎症が起きると目が赤くなり、ズキズキとした痛みを伴うことがあります。また、目の内部で生じる炎症に虹彩炎(こうさいえん)というものがあり、これも目の痛みやまぶしさといった症状の原因となることがあります。
副鼻腔炎
顔の骨の中にある副鼻腔という空洞に炎症が起きた状態のことです。副鼻腔は、鼻腔(鼻の穴)とつながっています。そのため、風邪やアレルギー性鼻炎などによって鼻の粘膜が腫れを繰り返すと、副鼻腔に膿などが流れ込み、副鼻腔炎に発展してしまうことがあります。
副鼻腔は、下の図に示したように左右対称に4つ(全部で8つ)あります。
副鼻腔炎を放っておくと、慢性化して手術をしなければならなくなることもあります。気になる症状がある場合は、早めに耳鼻科を受診しましょう。
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涙嚢炎(るいのうえん)
涙は目の表面を洗った後、涙点(るいてん)という「排水口」から鼻の奥に流れ落ちていきます。ちなみにこの涙点は、上下のまぶたの縁の鼻側の端に肉眼でも見つけられる小さな穴として認められます。涙嚢は涙点から流れ落ちてきた涙が通る管にある嚢(袋)で、目頭と鼻の付け根の間くらいのところにあります。ここに炎症が起きると涙や目やにが出たりするのですが目の痛みを伴う場合があります。
眼精疲労
目を酷使しすぎた結果、目の疲労感や視野のかすみ、まぶしさなどの症状が現れて、休息や睡眠をとってもこれらの症状がなかなか回復しなくなった状態のことをいいます。目の奥や周囲に痛みを感じる人も多いようです。ひどい場合には、頭痛や肩こり、吐き気などの全身症状がみられることもあります。
眼精疲労は、屈折異常(近視・遠視・乱視)の未矯正・不適切な矯正や、老眼、目の向き(眼位:がんい)の異常、ドライアイなどが背景にあることがあります。また、デジタル機器のディスプレイ(VDT:ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)の長時間使用も原因として挙げることができます。
群発頭痛1)
目の周りから前頭部・側頭部にかけての激しい痛みがたびたび生じる病気です。20~30代の若い方に多く、痛みとともに目の充血・流涙(りゅうるい:涙がでること)・まぶたの腫れ・眼瞼下垂(まぶたが下がること)といった目の症状や、鼻水や鼻づまりといった鼻の症状、発汗などの症状を伴います。
「目が痛い」は予防できる?
見てきたように、目や目の周りが痛くなる原因は代表的なものだけ挙げても非常に多くあります。予防が難しいものも多いのですが、大切な目が痛くならないように自分で気をつけられることはやってみましょう。
・コンタクトレンズをお使いの場合には、装用前にレンズに異常がないかを確認する・ケアが必要なものに関しては定められたケアをきちんとして清潔に保つ・レンズの交換期間が定められている場合はその期間を守る・レンズの使用方法が定められている場合にはそれを守る(就寝時は外す、など)・眼科で定期検査を受ける・装用して痛みを感じるレンズはすぐに外す、といったことが大切です。
・VDTを使用する場合には、連続して1時間作業を行ったら15分くらいの休みを取る・机上の明るさとディスプレイの明るさに大きなギャップが生じないよう明るさを調整する・ディスプレイと目の距離を保つ(40cm以上)・ディスプレイの画面の上端を目の高さ以下にする、といったガイドラインが定められています2)。
「目が痛い」状況に陥らないように、自分で気をつけられることはやってみましょう。
目の痛みを放置しては危険!
まとめ
目の痛みはさまざまな原因によって生じます。痛みが続くこと自体がつらいですし、なかなか病院に行かなかったことで症状が悪化して完治までに時間がかかってしまったり、視力にまで影響が及んでしまったりしては大変です。気になる症状がある場合はできるだけ早めに病院で診断・治療を受けるようにしましょう。
<参考資料>
1) 一般社団法人 日本頭痛学会:群発頭痛
https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_04.html
2) 厚生労働省:情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて(令和3年12月1日付 基発1201第7号)
https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf