巨大乳頭結膜炎とは?症状、原因や治療法を解説
作成日:2023/01/18 更新日:2024/11/13

巨大乳頭結膜炎とは1)〜4)
巨大乳頭結膜炎とは、上まぶたの裏側に直径1mm以上の大きなぶつぶつ(乳頭)が多数発生し、炎症が起きている状態です。アレルギー性結膜炎の一種で、コンタクトレンズの付着物などに対するアレルギー反応と考えられています。英語ではgiant papillary conjunctivitisで、GPCと略して呼ばれることが多くなっています。
アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)3)では、「コンタクトレンズ、義眼、手術用縫合糸などによる結膜組織に対する機械的刺激とアレルギー炎症を伴い、上眼瞼結膜に増殖性変化を認める結膜炎を指す」と定義されています。
巨大乳頭結膜炎の症状1)〜4)
巨大乳頭結膜炎の症状としては、目のかゆみ、充血、目やに、異物感などが挙げられます。また、まぶたの裏側がぶつぶつのためでこぼこになり、コンタクトレンズが上のほうに頻繁にずれたり、レンズがすぐに汚れてしまったり、レンズのつけ心地が悪くなったりする場合もあります。そのような症状がある場合には、コンタクトレンズの装用を中止して、早めに眼科医の診察を受けましょう。
巨大乳頭結膜炎の主な原因1)〜5)
巨大乳頭結膜炎は、コンタクトレンズに付着した汚れに対する反応や、コンタクトレンズからの機械的刺激が関与しているとされています5)。巨大乳頭結膜炎を引き起こす刺激物としては、コンタクトレンズ、義眼、手術用縫合糸などがあります3)。最も多いのはコンタクトレンズで3)、レンズの洗浄が適切にできていない場合や、レンズの素材や硬さなどが目に合っていない場合に生じやすいとされています。特に、花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲン(アレルギーの原因物質)がコンタクトレンズに付着したままになっていると、アレルギー性の結膜炎が悪化し、巨大乳頭結膜炎へと進行しやすくなります。
巨大乳頭結膜炎の治療法1)〜5)
巨大乳頭結膜炎の治療としては、原因を取り除くことと、目薬による症状の緩和が基本になります。
コンタクトレンズの装用が原因の場合には、原則として機械的刺激とアレルゲンの回避を目的として、一定期間コンタクトレンズの装用を中止します3)。また、アレルギー性結膜炎の治療に準じ、抗アレルギー作用のある目薬を用いて治療を行いますが、症状がひどい場合にはステロイドの目薬を併用します3)。
このような対策を行って症状が改善すれば、コンタクトレンズの装用は再開できますが、コンタクトレンズの種類、装用時間、レンズケアを見直すことも重要です。汚れの付着を防ぐという観点では、1dayタイプ(1日使い捨て)のソフトコンタクトレンズが有利ですが、1dayタイプ以外のレンズでは、徹底したレンズケアが必須になります。レンズケアに問題がある場合も多いので、眼科ではこすり洗いの指導をされたり、ケア用品の見直しが行われることがあります。また、装用時間、装用スケジュールを遵守することも重要です。
巨大乳頭結膜炎の予防方法
コンタクトレンズの使用者については、1dayタイプ以外のレンズを使っている場合は、毎日のレンズケアが重要になりますので、適切なレンズケアを行いながら、正しく使用するようにしましょう。レンズケアが不要な1dayタイプのコンタクトレンズに変更することも対策の1つとして有用ですので、検討してみてもいいでしょう。
目の異常は気づかないうちに進行してしまう場合もありますので、眼科で定期検査を受け、目の健康状態を知っておきましょう。また、異常に気づいたら、すぐに眼科を受診してください。
まとめ
巨大乳頭結膜炎は、とても不快な症状を伴います。異常を感じているのに放置していたり、手入れが十分でないコンタクトレンズの使用を続けていたりすると悪化する場合もあります。気になる目の症状がある場合には、コンタクトレンズの使用を中止し、早めに眼科を受診しましょう。
<参考資料>
1) 坪田 一男 他 編:「眼科プラクティス 27. 標準コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2009
2) 前田 直之 他 編:「新篇眼科プラクティス 9 必読! コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2023
3) 日本眼科アレルギー学会診療ガイドライン作成委員会:日眼会誌 125(8):741-785, 2021
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=429&dispmid=909
4) 医療情報科学研究所 編:「病気がみえる vol.12 眼科」 第1版 メディックメディア, 2019
5) 日本コンタクトレンズ学会コンタクトレンズ診療ガイドライン編集委員会:日眼会誌 118(7):557-591, 2014
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/contact_lens2.pdf