眼瞼下垂とは?症状や原因を解説
作成日:2022/12/8 更新日:2024/11/13
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眼瞼下垂とは?1)~3)
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、何らかの原因によって上眼瞼(上まぶた)が下がってくる状態で、それにより上方の視野が狭く感じられたり、外見が変わったりする不都合が生じます。上眼瞼をあげて目が開いた状態をつくるには、瞼の中にある筋肉やその筋肉を動かす神経がかかわっており、これらの筋肉や神経に異常があるとうまく瞼をあげておくことができず、眼瞼下垂と呼ばれる状態になってしまいます。
症状は見えにくさのほか、眠そうに見える、肩こり、頭痛、疲れやすいなどがあります。
原因は大きく先天性と後天性に分けられます。
まぶたの構造
まぶたを上げて目を開けた状態に保つには、上眼瞼挙筋という筋肉のはたらきが不可欠です。上眼瞼挙筋の下側は、挙筋腱膜(きょきんけんまく)という薄い膜状の構造になっていて、まぶたの先端にある瞼板(けんばん)という部分に付着しています。
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先天性眼瞼下垂
出生直後からみられる眼瞼下垂です。さまざまな原因で起こりますが、多くは上眼瞼挙筋の働きが生まれつき不良なことによります。片側性と両側性があり、片側性が多くの割合を占めます。下垂のある方の目では、下方でしかものが見られないため、それをカバーしようとしてあごを上げた姿勢をとることが多くなり、また眉毛を上げてものを見るようになります。
眼瞼下垂の程度が強い場合には、視力の発達に影響するため、視機能の評価や合併症の有無とも併せて眼科を受診し、手術の必要性や時期について判断してもらうのが良いでしょう。
後天性眼瞼下垂
後天性の眼瞼下垂で最も多いのは、挙筋腱膜がはずれてしまったり、伸びて緩んでしまったりすることで起きる腱膜性眼瞼下垂です。加齢が原因となって起きるほか、ハードコンタクトレンズを長く使用している人や、開瞼器(かいけんき)という目を開けるための器具を使った手術を受けた人にも起こりやすいとされています。ハードコンタクトレンズが腱膜に対して持続的に刺激を与えること、あるいは開瞼器が腱膜を傷つけてしまうことが一因と考えられています。他にも、外傷や神経麻痺(脳動脈瘤や糖尿病などによる動眼神経麻痺、交感神経麻痺、重症筋無力症など)が原因となることもあります。また、眼瞼下垂に似た症状として、上眼瞼皮膚弛緩症(偽性眼瞼下垂)というものがあります。この症状は、まぶたの筋肉や腱に問題があるのではなく、加齢に伴って上まぶたの皮膚がたるむことで生じるものです。
若者でも眼瞼下垂になる理由は?
後天性眼瞼下垂の中で最も多い腱膜性眼瞼下垂は、加齢に伴って起こることが多いのですが、普段の生活習慣などが原因となる場合もあります。前述のようにハードコンタクトレンズの長期使用によって起こるほか、コンタクトレンズを取り外す際に上まぶたを強くひっぱる、花粉症やアトピーなどのかゆみで目の周りをこする、クレンジングの際にまぶたをゴシゴシこするなどの動作も、腱膜が傷つく原因となる可能性があります。
まとめ
眼瞼下垂は、外見やものの見え方に影響するだけでなく、さまざまな症状を引き起こします。普段の生活の中に、まぶたを傷つけてしまうような習慣がないか見直しましょう。眼瞼下垂になってしまった場合は、手術によって治療も可能のようですが、治療効果には個人差があるため、担当医師とよく相談の上で治療計画を立てるようにしましょう。
<参考資料>
1) 医学情報研究所 編:「病気がみえる vol.12 眼科」 第1版 メディックメディア, 2019
2) 公益財団法人 日本眼科学会:病名から調べる 眼瞼下垂
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=12
3) 公益社団法人 日本眼科医会:眼瞼下垂に悩むかたへ
https://www.gankaikai.or.jp/health/54/index.html