まぶたがピクピク痙攣(けいれん)する原因は?考えられる病気や対策をご紹介
作成日: 2022/12/08 更新日: 2024/05/16
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まぶたがピクピク動く症状
まぶたがピクピク動くとき、こんな状態になっていませんか?
「眼瞼ミオキミア」という病気では、以下のような症状が認められます。
- しばらくピクピクするのが続くが、次第に落ち着く
- ピクピクする部位はまぶたの一部だけで、周辺には広がらない
眼瞼ミオキミアは、まぶたにある眼輪筋という筋肉の一部に異常な興奮が生じて起こるといわれています。
まぶたの痙攣以外に痛みや乾きなどの症状を見逃していませんか?
まぶたがピクピク動く原因として考えられること
長時間のパソコン・スマホの利用、肉体的・精神的な疲労、寝不足、度数が合っていないメガネやコンタクトレンズの装用など、目の疲労にはさまざまな原因が考えられますが、まずはしっかり目を休めましょう。
まぶたの痙攣を起こす病気について
病気① 眼瞼痙攣1),2)
目のまわりの筋肉が過剰に動き、まばたきがうまくできなくなる病気です。症状は通常、両目に起こることが多いといわれています。初めは目に違和感を覚え、その後まばたきの増加やまぶたの痙攣などの症状がみられるようになります。放置すると次第に進行し、最終的には自分の意志で目を開けていられなくなります。症状の進行は早くありませんが、放っておいても治りません。眼瞼痙攣は40代以降の女性に多いため、更年期に見られる症状の1つであると思い込み、放置してしまう人もいるようです。しかし、更年期と眼瞼痙攣は基本的に関係がありませんので、気になる症状がみられたら眼科を受診しましょう。重症の場合はボツリヌス注射で治療することもあります。
40代を過ぎて気になる症状・目の悩みが増えてきている…
病気② 片側顔面痙攣2),3)
病気③ チック4)
日常生活でできるまぶたの痙攣対策
対策① 適度に目を休める
目が疲れたと感じたら、無理をせずに目を休ませましょう。パソコンを使って作業をしている時は、1時間ごとに15分程度の休みをとり、窓の外をぼんやり見たりするなどして、目を休めると良いでしょう5)。
また、ホットアイマスクや蒸しタオルなどで目の周りを温め、血行改善を促すのもひとつの方法です。血行が良くなることで筋肉の疲労が和らぎ痙攣が改善することもあります。
パソコンを見る時間は減らせない…でもデジタル眼精疲労につながるかも。
→対処法はこちら
対策② 十分な睡眠時間を確保する
短時間の昼寝も疲労回復には効果的です。ただし、昼寝の時間は15分から30分程度にとどめましょう。それ以上の昼寝をすると、脳が深い眠りに入ってしまい、起きたときに体のだるさを感じてしまうほか、夜なかなか寝付けなくなってしまう場合もあるからです6),7)。
対策③ カフェインを控える
カフェインには神経を興奮させる作用があるため、多量に摂取するとまぶたの痙攣を悪化させることがあります。
カフェインによって健康を害さないようにするには、健康な大人の場合、摂取量を1日あたり400mg(コーヒーの場合、1杯150mLとして4杯程度)までに抑えるべきとされています(妊娠中、授乳中の方はその半分、1日あたり200mgまで)8)。カフェインレスの飲料などをうまく利用しながら、カフェインを過剰に摂取しないように気をつけましょう。
以下に、カフェインを多く含んでいる代表的な飲み物と100mLあたりのカフェイン量を挙げました。飲み物を選ぶ際の目安にしてください。(いずれも100mLあたり)
- コーヒー:60mg
- 紅茶:30mg
- 煎茶、ほうじ茶:20mg
また、エナジードリンクにも注意しましょう。缶1本あたり100mg前後のカフェインを含む商品もありますので8)、1日に何本も飲むのは控えてください。カフェインを摂取しすぎてしまったときは、体内から排出されやすくなるように、カフェインを含まない飲み物で水分をしっかりと摂ることが重要です。
まとめ
まぶたがピクピク動くのに気づいたら、まずは意識的に目を休めましょう。日常生活を振り返って、疲労を減らす方法を考えてみるのもいいかもしれません。症状が長引くなど気になる場合は、一度、眼科医に相談してみましょう。
1) 眼瞼けいれん診療ガイドライン、日本神経眼科学会、2011年
2) 医療情報科学研究所編、病気がみえるvol.12 眼科、株式会社メディックメディア、2019年
3) 標準的神経治療:片側顔面痙攣、日本神経治療学会、2008年
4) 星加明徳、日本視能訓練士協会誌18 26-31, 1990
5) 令和元年7月12日付け基発0712第3号 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて 厚生労働省労働基準局編
https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf
6) 健康づくりのための睡眠指針2014 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042749.html
7) 林光緒他、生理心理学と精神生理学25(1): 45-59, 2007
8) 農林水産省ホームページ
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監修
宇津見眼科医院院長
宇津見 義一 先生
1978年、北里大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部眼科学教室へ入局。その後社会保険埼玉中央病院眼科部長、済生会神奈川県病院眼科医長を経て、1990年、宇津見眼科医院を開設。
公益社団法人日本眼科医会 常任理事や日本コンタクトレンズ学会理事等を務めた。
文部科学省デジタル教科書実証事業有識者会議委員、文部科学省情報モラル教育推進事業委員等にも携わる。
■所属学会
文部科学省デジタル教科書実証事業有識者会議委員
文部科学省情報モラル教育推進事業委員
神奈川県眼科医会 会長
公益社団法人 日本眼科医会
日本コンタクトレンズ学会
日本眼科医学校保健委員会 副委員長
北里大学医学部眼科非常勤講師