コンタクトレンズとは、視力を補正するための高度管理医療機器で、黒目(角膜)の上に直接のせて、近視・ 遠視・ 乱視などの屈折異常を補正するレンズのことです2),3)。レンズ素材の違いによって、大きく「ソフトコンタクトレンズ」と「ハードコンタクトレンズ」に分けられます。ソフトコンタクトレンズでは使用期間や装用方法などの違いによって、「使い捨てソフトコンタクトレンズ」、「頻回交換ソフトコンタクトレンズ」、「定期交換ソフトコンタクトレンズ」、「終日装用」、「連続装用」の分類があります。
使い捨てコンタクトレンズとは?
〜使い捨てないものとの違い〜
作成日:2022/12/14 更新日:2024/11/13
コンタクトレンズとは
レンズ素材による分類
レンズ素材の違いによって、大きくソフトとハードの2種類に分けられるコンタクトレンズですが、それぞれ次のような違いや特徴があります。
ソフトコンタクトレンズ
ソフトコンタクトレンズは、水分を含んだやわらかい素材でできているため、目になじみやすく、ずれにくいのが特徴です。装用したときの違和感が比較的少ないとされているため、初めてコンタクトレンズを装用する方でも慣れやすいと考えられます。1日使い捨ての1dayタイプのほか、2週間で交換する頻回交換タイプや、1ヵ月、3ヵ月などの決められた期間で交換する定期交換タイプがあります。
ハードコンタクトレンズ
ハードコンタクトレンズは水を含まない硬い素材でできており、酸素を通しやすいのが特徴です。硬い素材でできているため、初めてコンタクトレンズを装用する方は、慣れるまでに少し時間がかかることがあります。目を覆う面積が少ないことから目への負担が少なく、強い近視や乱視の矯正に向いています。また、一般的にはソフトタイプに比べて使用できる期間が長いことが特徴です。
ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズの違い4),5)
分類 | ソフトコンタクトレンズ6) | ハードコンタクトレンズ7) |
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概要 | ・ 水を含む柔らかいポリマー ・ 角膜全体を覆う大きさ (直径:13.0~15.0mm程度) | ・ 水を含まない硬質なポリマー ・ 角膜の一部を覆う大きさ (直径:8.5~9.5mm程度) |
不正乱視 | 矯正不可能 | 矯正可能 |
酸素透過性 | 製品により異なる。ばらつき大 | 優れている |
装用感 | ・ 良い。違和感が少ない。初心者向き ・ ずれにくく、脱落が少ない ・ 眼障害に気づきにくい | ・ 違和感に慣れるまでに時間がかかる ・ ずれやすく、脱落しやすい ・ 眼障害に気づきやすい |
耐久性 | やや劣る(長期間使用するタイプのほか、1day、2weekタイプなどあり) | 高い |
使い捨てタイプ | あり | なし ※ 一部製品を除く |
4)~7)より作成
レンズ交換スケジュール(使用期間・ 装用方法)による分類
ソフトコンタクトレンズには、1日で使い捨てる1dayタイプのほか、2weekタイプ、1monthタイプなど、毎日レンズケアを行いながら、一定期間使用した後、交換するタイプの製品があります。
使い捨てソフトコンタクトレンズ
使い捨てソフトコンタクトレンズは、一度目からはずしたら捨てなければならない製品で、1dayタイプは使い捨てに該当します。1dayタイプは、毎朝新しいレンズを使い、夜にはそのレンズは捨ててしまいます(終日装用)。とりわけ1dayタイプは、スポーツをするときだけ、旅行に行くときだけなど、限定的にコンタクトレンズを使用する方法も可能なコンタクトレンズともいえます。近年は、1dayタイプが主流になっています1)。
頻回交換・ 定期交換ソフトコンタクトレンズ
2weekタイプ、1monthタイプなど、使い捨て以外のソフトコンタクトレンズは、頻回交換・ 定期交換ソフトコンタクトレンズに分類されています。3monthタイプなど、さらに長期間使用するタイプもあります。これらのレンズは、使い捨てコンタクトレンズと異なり、毎日のケアが必要になります。
2weekタイプとは、開封してから最長14日間使用できる、再使用可能なコンタクトレンズのことです。このように、ソフトコンタクトレンズは、使用期間が異なるものがありますが、どのタイプが自分に合うのかは、目の状態やライフスタイルにより違うため、自己判断せず、眼科医に相談しましょう。
なお、2weekタイプのコンタクトレンズについては、開封から2週間を超えても14回装用するまで使用できると勘違いされている場合があります。しかし、実際には14回ではなく、開封後最長で14日間までは使用できるということです。つまり、開封してから14日間を過ぎたら、例えそれまでに1回しか使用していなくても、新しいレンズに交換する必要があります。決められた使用期間を守らずに装用を続けると、目のトラブルを引き起こす可能性があるため注意が必要です。
まとめ
使い捨てコンタクトレンズとは、一度目からはずしたら捨てなければならない製品です。使い捨て以外とは、2week、1monthなど、決められた期間内であれば、再使用可能なコンタクトレンズのことです。このようにコンタクトレンズには、様々な交換スケジュールのものがあります。ケアをしながら再使用していくレンズの場合には、しっかりとケアをすることがとても大切です。また、2week、1monthなど、定められた交換頻度を守ることも重要です。目の状態によっては、「どの交換スケジュールのものでも、どんな素材のものでも使用できる」わけではない場合もあり得ますので、眼科を受診のうえ、ご自身の目にあったコンタクトレンズを装用するようにしましょう
<参考資料>
1) Contact Lens SPECTRUM, January 2024 Issue
https://clspectrum.com/issues/2024/januaryfebruary/
2) 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:知っておきたいコンタクトレンズのはなし
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-devices/qa/0015.html
3) 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協議会:コンタクトレンズとは
https://www.jcla.gr.jp/contactlens/index.html
4) 坪田 一男 他 編:「眼科プラクティス 27.標準コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2009
5) 植田 喜一 編:「眼科スタッフのためのCL(コンタクトレンズ)で困ったときに開く本」 第1版 廣済堂, 2009
6) 糸井 素純:あたらしい眼科 31(7):997-998, 2014
7) 糸井 素純:あたらしい眼科 31(6):841-842, 2014
8) 前田 直之 編:「新篇眼科プラクティス9 必読! コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2023