中学生のコンタクトレンズ装用は大丈夫?学校や放課後に気をつけたいことや注意点は?
作成日:2022/12/14 更新日:2024/11/13

コンタクトレンズは何歳から使用できる?中学生でもOK?1)~5)
中学生は小学生より、部活動や習い事など活動の場が広がります。それに伴って、眼鏡をかけたままでは難しい活動に遭遇する機会も増えてきます。では中学生の場合、コンタクトレンズを装用することはできるのでしょうか?
結論から言えば、コンタクトレンズの装用に年齢制限はないため、基本的には中学生でも使用することができます。ただし、眼科医の判断によります。たとえ高校生であっても、正しい取り扱いを遵守せず、定期検査を怠って眼障害を起こすようであれば処方してもらえないことがあります1)。逆に小学生であっても、正しい取り扱いができるのであれば処方してもらえることがあります1)。重要なのは、何歳だからということではなく、コンタクトレンズは高度管理医療機器であるという自覚のもとに、正しく使用することができるかどうかです1)。
中学生がコンタクトレンズを使用できるかどうかは個人差がありますので、希望する場合には、まずは眼科医に相談しましょう。眼科医は目の状態を検査し、コンタクトレンズの使用が可能かどうかを個別に判断してくれます。できるだけ保護者も同伴し、子どもと一緒に説明を聞くようにしましょう。
コンタクトレンズ装用者の低年齢化が進む中1)~3)、眼科医がコンタクトレンズを何歳から処方するかは、「必要があり、適応があれば何歳からでも」という流れに変化しつつあります1),2)。
中学生がコンタクトレンズデビューする際学校や放課後に気をつけたいこと1)~5)
子どもがコンタクトレンズを使用する上で大切なのは、年齢よりもむしろ「正しい取り扱いができるかどうか」です。自分でレンズを適切に使用できるか、コンタクトレンズ装用に必要な衛生管理ができるか、トラブルが起こった場合に正しく保護者に伝えることができるか、きちんと眼鏡と併用できるかなどが目安になります。
中学校ではクラスでの授業以外に、部活動や委員会など、集団行動の場面が多々あります。コンタクトレンズがずれたり、外れたりした時のために、眼鏡を持ち歩くようにしましょう。また、中学生の場合、部活動や塾などで帰宅が遅くなり、コンタクトレンズの装用時間が長くなってしまうことも考えられます。コンタクトレンズは1日の装用時間を守り、正しく使いましょう。
中学生の子どもがコンタクトレンズを使用する際には以下のような点に注意し、保護者は正しい使用方法が守れているか、気にかけてあげましょう。
- 眼科医に指示された装用時間、 装用スケジュールを守っているか。
- コンタクトレンズに触れる前に、石けんで手を洗っているか。
- 繰り返し使用するタイプのコンタクトレンズの場合、レンズやケースの手入れを怠っていないか。
- 眼鏡をきちんと併用しているか。(子どもの屈折矯正の基本は眼鏡である。)
- 繰り返し使用するタイプのコンタクトレンズの場合、定められた使用期間で交換しているか。
- 定期検査を受けているか。
コンタクトレンズを適正に使用するための情報提供サイト
コンタクトレンズを正しく安全に使用するための方法については、下記サイトなどでも詳しく紹介されています。
大阪府で作成している「コンタクトレンズ適正使用の啓発資材」については、初めてコンタクトレンズを使用する小中学生だけでなく、その保護者への注意点もまとめた内容になっています。また、弊社で作成している「中学生・高校生のためのコンタクトレンズガイド」では、保護者への注意点とともに、目・視力・コンタクトレンズに関するクイズに答えながら、コンタクトレンズの正しい使い方が楽しく学べるようになっており、学校保健のHPでも採用されています。
- 日本コンタクトレンズ学会 正しいコンタクトレンズのケア
http://www.clgakkai.jp/general/study.html - 日本コンタクトレンズ協会 コンタクトレンズの使用方法について
https://www.jcla.gr.jp/safely/index.html - 大阪府 コンタクトレンズ適正使用の啓発資材
https://www.pref.osaka.lg.jp/o100100/yakumu/kiki_taisaku/contact_kyouinshizai.html - ジョンソン・エンド・ジョンソン 中学生・高校生のためのコンタクトレンズガイド
https://www.acuvue.com/ja-jp/goeyedoctor/
残念なことに、2018年に実施された調査では、「コンタクトレンズ購入後に、定期検査を受けていない」と答えた中学生は23.1%、高校生は18.3%にのぼりました3)。若年層は近視や乱視が進行するため、検査や診察を怠ると、適正な矯正が得られないばかりか、不適切な装用やレンズケアによって眼障害が増加する可能性があります2)。
子どもがコンタクトレンズを正しく使用し、眼科での定期健診をきちんと受け、目の健康を守ることができるよう、周りのサポートも大切です。
まとめ
コンタクトレンズは、眼科医の指示に従い、正しい装用方法を守り、定期的に検診を受けていれば、中学生でもきちんと使用できます。子どもがコンタクトレンズを正しく安全に装用できるよう、周りもサポートを心がけましょう。
<参考資料>
1) 宮本 裕子:日コレ誌 63(1):18-21, 2021
2) 東原 尚代:眼科ケア 26(3):6-11, 2024
3) 渡辺 英臣 他:日本の眼科 90(9):1194-1216, 2019
4) 植田 喜一 編:「眼科スタッフのためのCL(コンタクトレンズ)で困ったときに開く本」 第1版 メディカ出版, 2009
5) 坪田 一男 編:「眼科プラクティス 27. 標準コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2009