度数と視力は同じ意味だと思われがちですが、実は異なります。視力とは、物を見る力を数値化したものです。具体的には、隣接した2点を2点として識別できる目の能力をいい1)、より近接した2点が識別できるほど“視力が良い”、ということになります。一方、度数とは、視力すなわち物を見る力を目に発揮させるために必要な、レンズの屈折力を数値化したもので、コンタクトレンズや眼鏡の矯正力を表しています。つまり、視力=度数ではなく、似て非なるものなのです。このため、レンズ度数から視力、あるいは、視力からレンズ度数を正確に導き出すことはできません。コンタクトレンズや眼鏡を購入する際には注意しましょう。
コンタクトレンズと眼鏡の度数の違いと併用が必要な理由について
作成日:2024/11/13 更新日:2024/11/13
そもそも度数とは?視力とは別物?
コンタクトレンズと眼鏡の度数の違い
コンタクトレンズを購入する際、眼鏡と同じ度数で作れば問題ないだろうと思っていませんか?コンタクトレンズでは、目の上にレンズがぴったりとくっついているのに対し、眼鏡では、目と眼鏡レンズの間に平均12mmのアキ(目の表面から眼鏡レンズの内側までの距離)があります。このため、コンタクトレンズと眼鏡の度数は必ずしも同じにはなるとは限りません。
「コンタクトレンズと眼鏡の度数は同じで大丈夫」と自己判断するのではなく、それぞれ眼科医の処方に沿った度数のものを使用するようにしましょう。
コンタクトレンズの度数を知る方法は?
コンタクトレンズの度数は、製品の外箱(二次包装)の側面や個包装のホイル(一次包装:プラスチック容器を密封しているふた)で確認できます。例えば、ワンデー アキュビュー® オアシス® やワンデー アキュビュー® モイスト® の外箱と個包装の容器には、以下のような記載があります。
外箱にはベースカーブ(BC)、直径(DIA)とともに、近視や遠視、乱視の度数が書かれています。D(ジオプター:屈折力の単位)と書いてある部分がレンズの度数(球面度数)です。この製品は「D -3.00」と記載されているので、度数は-3.00Dであることが分かります。乱視用コンタクトレンズの場合は、乱視度数(CYL)と円柱軸(AXIS)も記載されています。また、使用期限も記載されていますので、必ず使用期限内に使用するようにしましょう。
コンタクトレンズを使っていても眼鏡が必要な理由
コンタクトレンズがあれば、眼鏡は必要ないと考える人は多いかもしれません。でも、眼鏡はいざという時、非常に役立つアイテムです。例えば、出張先や旅行先でレンズの入手が困難になった場合や、何らかのトラブルでコンタクトレンズが使えなくなったときには、眼鏡が必要になります。コンタクトレンズを使用する場合、眼鏡とうまく併用することが、目の健康を守るために大切です。
目のトラブル対策
コンタクトレンズ装用中に、目が疲れたり、ゴロゴロ感などの違和感が生じたりした際に、無理な装用を続けると、目のトラブルにつながる可能性があります。その場合はコンタクトレンズの装用を中止し、眼鏡に替えましょう。普段から眼鏡を持ち歩く習慣をつけておくと、外出時に何かあってもすぐにコンタクトレンズから眼鏡に替えることができます。
コンタクトレンズの装用時間を守る
コンタクトレンズには適切な装用時間があり、その時間を超えて使用していると、より乾燥感を感じやすくなったり、角膜に酸素が行きわたらず、眼病に発展したりするなど、さまざまなトラブルの原因になる可能性があります。装用時間を超えて使用しないよう、帰宅したらコンタクトレンズを外し、眼鏡に替えるなどの習慣をつけましょう。適切な装用時間には個人差があるため、必ず眼科医に確認してください。
その他
残りのコンタクトレンズの枚数が少なくなり、次回、眼科を受診するまでに足りなくなる場合や、予備のないハードコンタクトレンズを落としてしまった場合、目の調子が良くないなど、自分自身の非常時だけではなく、震災などで断水し、手が洗えないといった社会的非常時においても、眼鏡は非常に有用です。
まとめ
コンタクトレンズと眼鏡の度数は必ずしも同じではありません。視力を矯正する際には眼科で検査を受け、眼科医の処方に沿って、自分の目に合った度数のものを使用しましょう。また、コンタクトレンズを装用する際には必ず眼鏡も用意し、適切に使い分けることで、大切な目の健康を守りましょう。
<参考資料>
1) 中澤 満 他 編:「標準眼科学」 第14版 医学書院, 2018