そもそもアレルギーがあると、なぜ目がかゆくなるのでしょうか。私たちの身のまわりには、花粉、ハウスダストなど多くのアレルゲンが存在しています。このアレルゲンが体の中に入ると体はこれを異物とみなし、排除しようとする免疫機能が働きます。この際、「IgE抗体」というアレルゲンに対する特異的な物質が作られ、粘膜の肥満細胞(マスト細胞)に付着し、同じアレルゲンが再び侵入した時に、アレルギー反応を起こす準備を整えます(この状態を「感作」といいます)。感作が成立した後に、再びアレルゲンが体内に侵入し、IgE抗体がある一定量に達すると、肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されます。この化学伝達物質が、目の血管や知覚神経を刺激することで、かゆみや充血などの炎症症状が引き起こされます。これがアレルギーで目がかゆくなるしくみです。
目にアレルギーがあってもコンタクトレンズは使える?おすすめのレンズなんてあるの?
作成日:2024/11/13 更新日:2024/11/13
アレルギーで目がかゆくなるしくみ
目にアレルギーがあってもコンタクトレンズは使える?
目にアレルギーがある場合、アレルギーの症状や重症度によっては、コンタクトレンズを装用できない場合があります。目の状態は人によって異なりますので、自己判断せず、必ず事前に眼科医に相談しましょう。眼科医は、あなたの目の状態をチェックして、コンタクトレンズを装用しても問題ないかどうかを確認してくれます。その上で、特に問題がなければコンタクトレンズの処方が受けられます。
とはいえ、忙しくてなかなか眼科を受診できない方もおられるかもしれません。その場合には、原則としてコンタクトレンズの装用を中止した上で、抗アレルギー成分が配合された市販の目薬を使って様子をみるというのも1つの方法です。どの目薬を使用したらいいかわからない場合には、薬剤師あるいは登録販売者に相談しましょう。ただし、しばらく使用しても症状の改善がみられない場合は使用を中止し、必ず眼科を受診するようにしましょう。
コンタクトレンズ装用後にアレルギー性結膜炎を発症したら?
アレルギー性結膜炎を発症すると、かゆみや目やに、涙目、充血、異物感などの症状が現れます。かゆいからといって、目をこすってしまうと、さらなる目のトラブルにつながりかねません。コンタクトレンズを装用している時に、アレルギー性結膜炎の症状に気づいたら、目をこすらず、コンタクトレンズを外し、眼科を受診しましょう。
アレルギー性結膜炎患者におすすめのコンタクトレンズはあるの?
基本的に、アレルギー性結膜炎をはじめとして目の表面に病気がある場合には、コンタクトレンズの装用自体がおすすめできません。アレルギー性結膜炎の症状がある人は、目やになど目からの分泌物が多いため、コンタクトレンズが汚れやすくなります2)。また、この汚れが原因で症状がひどくなると、目の分泌物が増加し、汚れがきちんと除去されなければレンズに蓄積し、結膜炎の症状を悪化させるという悪循環に陥ります2)。さらには、アレルギー性結膜炎の治療に使う目薬の中で、ソフトコンタクトレンズを装用したまま使用できるものも限られており、治療の選択肢が少なくなってしまうのも、装用をおすすめできない理由の1つです。しかし、アレルギーの症状や重症度、コンタクトレンズの装用頻度などによっては、装用が可能と眼科医が判断する場合もありますので、自己判断せず、必ず眼科医に相談しましょう。
まとめ
目にアレルギーがある場合、アレルギーの症状や重症度によっては、コンタクトレンズを装用できる場合とできない場合があります。自己判断はしないで、まずは眼科医に相談しましょう。また、コンタクトレンズ装用後にアレルギー性結膜炎の症状に気づいたら、コンタクトレンズを外して、早めに眼科を受診してください。
<参考資料>
1) 花粉症に悩むコンタクトレンズ装用者に関する調査 ジョンソン・ エンド・ ジョンソン株式会社調べ, 2021
2) 植田 喜一:「コンタクトレンズの正しい使い方 ―効果的に/安全に/快適に─」 第1版 メディカル葵出版, 2002