コンタクトレンズの装用で目がゴロゴロする原因は? 異物感や違和感を和らげるための対処法
作成日:2022/12/14 更新日:2024/11/13

コンタクトレンズの装用時に目がゴロゴロする理由1)~4)
コンタクトレンズ装用時に目がゴロゴロする主な原因として、次のようなものが考えられます。
目にゴミや砂などの異物が入っている
コンタクトレンズの装用中に、突然目がゴロゴロした場合、小さなゴミや砂、まつ毛などの異物が目に入っていることがよくあります。まぶたの裏や目の表面に異物が刺激を与えることで、ゴロゴロ感(異物感)や違和感が生じます。
乾燥している
コンタクトレンズの装用時には、涙の分布が変化し、涙が不安定になりがちです。レンズ表面の涙の層がうすい状態でまばたきをすると、まぶたとレンズの間の摩擦が大きくなるため、ゴロゴロ感を生じやすくなります。
コンタクトレンズが汚れている
コンタクトレンズの汚れが原因で、目がゴロゴロする場合もあります。特に、結膜炎があると目の分泌物が増加し、レンズが汚れやすくなります。使用期間を過ぎて使うなどの不適切な使い方や、不十分なレンズケアは、レンズ汚れを招きます。化粧品の油分が指先に残っていることも多く、その指で触ることでも、レンズに汚れが付着しやすくなります。
コンタクトレンズに傷がついている
レンズをきれいに洗浄しても、ゴロゴロ感や違和感がなくならない場合には、コンタクトレンズ自体に傷がついている可能性があります。傷や破損の原因として、不適切なこすり洗いや、荒れた手指、乾燥した状態でのレンズの取り扱いなどが考えられます。
目のゴロゴロ感・異物感を伴う主な病気 1)〜5)
目がゴロゴロするのは、コンタクトレンズの装用時や、実際に目の中に異物が入ったときだけではありません。角膜(くろ目)や結膜(しろ目)の炎症、上皮障害など、何らかの病気が関係している場合もあります。
目のゴロゴロ感・異物感を伴う主な病気には、下表のようなものがあります。
結膜炎 | 何らかの原因で結膜に炎症が起こる病気。感染性と非感染性があり、感染性の多くは細菌やウイルスの感染が原因。非感染性はアレルギー性結膜炎が代表的で、スギ、ダニ、ハウスダストなどが原因となる。 |
角膜炎 | 細菌やウイルスの感染などにより、角膜に生じた炎症の総称。まれに、アカントアメーバと呼ばれる原虫による感染がみられるが、これはソフトコンタクトレンズの不適切な使用が原因であることが多い。 |
ドライアイ | 涙の量や質が不安定になり、涙が均等に行きわたらなくなる病気。その結果、不快感や異物感を生じたり、見え方がぼやけたりする。 |
角膜びらん(角膜上皮欠損) 角膜潰瘍 | 角膜のごく表面だけに、傷ができた状態。 傷が角膜の表面だけでなく、さらに深部にまでできた状態。 |
睫毛内反(しょうもうないはん) 睫毛乱生(しょうもうらんせい) | いわゆる「さかさまつげ」や、まつげの向きがばらばらであるなどの状態。 通常外側に向かって生えているまつげが内側を向くことで眼球に接触し、結膜や角膜を傷つけ、異物感、羞明(まぶしさ)などを訴える。 |
目のゴロゴロ感・違和感を和らげるための対処法 1)〜7)
目のゴロゴロ感は、多くの人が経験する不快な症状ですが、その対処法を知っていれば、症状を和らげることができます。
異物が入っている場合は洗い流す
目に小さなゴミや砂などの異物が入った場合には、清潔な水で異物を洗い流してください。コンタクトレンズを装用している場合は、コンタクトレンズを外してから洗い流しましょう。目をこすってしまうと角膜が傷つくことがあるので、こすらないように気をつけましょう。
目薬を使用する
乾燥による目のゴロゴロ感には、水分を補う目薬の点眼が有効です。しかし、目薬に含まれている防腐剤がコンタクトレンズに吸着され、トラブルの原因になることもあります。このため、コンタクトレンズ装用者の場合には、コンタクトレンズ装用時にも使用できる目薬や人工涙液の点眼などで、乾燥対策を行うことが必要です。また、まばたきは、涙の蒸発を防ぎ、涙の分泌を促すので、意識的にまばたきの回数を増やすのも良いでしょう。
細菌性結膜炎、アレルギー性結膜炎の場合には、抗菌薬や抗アレルギー作用のある目薬が有用です。
眼科を受診する
目のゴロゴロ感の原因は多岐にわたります。中には重篤な疾患が隠れている可能性があるので、症状が続くようであれば、眼科を受診しましょう。
目のゴロゴロ感・異物感を予防するには 1)〜8)
眼のゴロゴロ感・異物感を予防するには、以下の点に気をつけることが重要です。
コンタクトレンズの正しい使用方法を守る
指示された装用時間やケア方法を守ることが大切です。決められた使用期間(レンズ交換期間)を超えることなく、定期的に新しいレンズと必ず交換してください。例えば、1dayタイプ(1日使い捨て)のコンタクトレンズの場合、一度目から外したら再装用できません。コンタクトレンズ装用前には、石鹸で手をきれいに洗いましょう。
エアコンの風が直接あたらないようにする
エアコンや扇風機の風が直接顔にあたると目が乾燥し、目がゴロゴロするようになります。涙が蒸発して目が乾燥しないよう、エアコンを調節しましょう。
目を過度に疲れさせない
長時間にわたるデジタルデバイスの使用や、集中的な作業でまばたきが減少し、目が乾燥してゴロゴロするようになります。こまめな休憩やストレッチ、適切な照明環境の確保、コンタクトレンズや眼鏡の度数を合わせるなど、目の負担を軽減する工夫をすることが大切です。
部屋を清潔に保つ
アレルギー性結膜炎を予防するには、まめに部屋の掃除を行い、ハウスダストを減らしましょう。花粉シーズンには窓開けを控え、洗濯物の外干しは避けましょう。室内の花粉やハウスダストを減らすには、空気清浄機も有効です。
適切なレンズケアを行う
メイク汚れがレンズにつかないよう、化粧をする前にレンズを装用し、化粧を落とす前にレンズを外しましょう。1dayタイプ(1日使い捨て)以外は、適切なレンズケアが必要です。外したコンタクトレンズを手のひらにのせ、ケア用品を数滴つけて、レンズの両面を各々20~30回、指で一定方向に軽くこすりながらやさしく洗い、汚れを取り除いてください。
まとめ
コンタクトレンズによる目のゴロゴロ感や違和感を解消するには、原因を知り、それに応じた対策をとることが重要です。原因にはさまざまなものがあり、取るべき対策も異なります。ゴロゴロ感が続くときは、重大な疾患が隠れている可能性も考えられます。ゴロゴロ感が続くようであれば、眼科を受診するようにしましょう。
<参考文献>
1) 糸井 素純 他 編:「コンタクトレンズ眼障害 ひと目でわかるトラブルシューティング」 初版 中山書店, 2006
2) 大橋 裕一 編:「専門医のための 眼科診療クオリファイ 6 コンタクトレンズ自由自在」 初版 中山書店, 2011
3) 坪田 一男 他 編:「眼科プラクティス 27.標準コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2009
4) 公益財団法人 日本眼科学会:目の病気
5) ドライアイ研究会:ドライアイの定義と診断基準
6) 一般社団法人 日本眼科用剤協会:点眼剤の適正使用ハンドブック - Q&A - 第2版
https://gankayozai.jp/medical/tenganzai_handbook.html
7) 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会:コンタクトレンズの使用方法について
https://www.jcla.gr.jp/contactlens/howtouse.html
8) 公益財団法人 日本眼科学会:コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=298&dispmid=909