鏡で自分の目を見てみましょう。黒目(角膜)の真ん中に、ひときわ黒い丸があるのがわかりますか?この黒い丸は瞳孔と呼ばれ、角膜を通った光がさらに目の奥に進むときに通過する孔であり、目の中を部屋にたとえると、窓のようなものです。人は、角膜を通った光の全てを感じているのではなく、瞳孔を通った光を感じているのです。
瞳孔は、明るいところでは小さくなり、暗いところでは大きくなり、目に入る光の量をコントロールしています。
作成日:2023/1/18 更新日:2024/11/13
鏡で自分の目を見てみましょう。黒目(角膜)の真ん中に、ひときわ黒い丸があるのがわかりますか?この黒い丸は瞳孔と呼ばれ、角膜を通った光がさらに目の奥に進むときに通過する孔であり、目の中を部屋にたとえると、窓のようなものです。人は、角膜を通った光の全てを感じているのではなく、瞳孔を通った光を感じているのです。
瞳孔は、明るいところでは小さくなり、暗いところでは大きくなり、目に入る光の量をコントロールしています。
明るさ以外にも、瞳孔の大きさが変わることがあります。例えば、怒ったとき、びっくりしたとき、などです。瞳孔の大きさは自律神経の力関係によってコントロールされているため、交感神経が優位(強い)なときには瞳孔は大きく、副交感神経が優位(強い)なときには瞳孔は小さくなるのです。
瞳孔の大きさは、このような明暗や情動以外に、実は、年齢や目の度数(近視と遠視の度合い)によっても異なります。散瞳や縮瞳をコントロールしている自律神経の力関係が変わってくるため、瞳孔は、加齢とともに徐々に小さくなっていきます。また、近視の人は遠視の人よりも瞳孔が大きいといわれています。
遠近両用コンタクトレンズには、1枚のレンズの中に近くを見るための度数(近用度数)と遠くを見るための度数(遠用度数)、その間を見る度数まで、多くの度数が存在します。レンズの中心に近用度数がある製品の場合、レンズの周辺にある遠用度数へと、レンズの中心から外側に向かって徐々に度数が変化していく構造になっています。遠近両用コンタクトレンズのうち、ソフトコンタクトレンズでは、どの距離のものを見ているときも、全ての度数を通過した光が常に目の中に入ってきているという複雑な状態になっています。その状態で、遠くから近くまで自然に見えるようにするには、目の窓である瞳孔を通過して目の中へ入る光のうち、「レンズの遠用度数を通過した光」と、「レンズの近用度数を通過した光」の量的なバランスが適正である必要があります。
例えば、Aの状態であれば、目の窓である瞳孔から目に入る光の内訳をみると、遠用度数を通った光と、近用度数を通った光のバランスが良く、遠くから近くまで見えていることが予想できます。ところが、加齢に伴い瞳孔が小さくなってBの状態になると、レンズの周辺にある遠用度数を通過する光が、瞳孔を通りにくくなります。そうすると、近くは変わらずよく見えるのですが、遠くがだんだん見えにくくなってきます。
そうならないように、年齢や目の度数に伴う瞳孔の大きさの違いに配慮して作られた、遠近両用ソフトコンタクトレンズもあります。この場合、瞳孔の大小にかかわらず、”光の量のバランス“が維持できるため、近視でも遠視でも、歳を重ねても、遠くから近くまで自然な見え方を得ることができるのです。
老眼は、自覚し始めた後も10年以上の歳月をかけて少しずつ進行します。それに伴い、見え方も少しずつ調整しなければ、自然な見え方は維持できません。遠近両用コンタクトレンズを使い始めた後も、定期的に眼科で検査を受けるようにしましょう。
瞳孔は、光の明暗や情動だけでなく、年齢や目の度数によっても大きさが異なります。遠近両用ソフトコンタクトレンズでは、1枚のレンズの中で遠くを見る部分と近くを見る部分がバランス良く配置されていることはもちろん、このバランスの良さが、瞳孔の大きさの違いにかかわらず、保たれていることが大切です。老眼は少しずつ進行します。遠近両用コンタクトレンズを使い始めた後も、定期的に眼科で検査を受けるようにしましょう。