コンタクトレンズ装用中に違和感があるときの 症状別対処法とは?
作成日:2024/11/13 更新日:2024/11/13
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ゴロゴロする1)~3)
目とコンタクトレンズの間にゴミやほこりなどの異物が入っていると、ゴロゴロして違和感が出やすくなります。このような場合には、何回かまばたきをしたり、コンタクトレンズ装用中に使用できる目薬をさしたりして、ゴミを洗い流しましょう。もし、レンズをケアできる環境下であれば、一旦、レンズを外し、異物を洗い流してから再装用すると良いでしょう。
洗い流しても改善しない場合には、コンタクトレンズに傷や破損、変形があるのかもしれません。新しいコンタクトレンズと交換してみましょう。
それでも改善しない場合は、また改善した場合でも、眼科で目の状態を確認してもらいましょう。目とコンタクトレンズの間の異物や、レンズの傷、破損、変形は、目の傷の原因となることがあります。ところが、小さな目の傷は、自覚症状がないことも多く、そこから感染してしまう場合もあります。また、コンタクトレンズの装着状態(フィッティング)が極度に悪い場合にも、ゴロゴロすることがあります。上記の対策で、ゴロゴロする症状が消失しても、目に異常がないか、フィッティング不良がないか、眼科で確認を受けることが大切です。
チクチクする・痛い1),2)
目の痛みは、目の表面の痛みと、眼球の奥、つまり深部の痛みに大きく分けられます。チクチクする刺すような痛みの場合、主な原因は、しろ目(結膜)や目の中に異物が入るなど、「ゴロゴロする」と原因が重複していることが多いので、そのような場合には、ゴロゴロするときと同様に、対処してみましょう。
また、レンズ表面の涙が不安定になっていて、まばたきの際に、まぶたとコンタクトレンズの間に摩擦が起き、痛みを感じることもあります。このような場合には、人工涙液の目薬で目を潤してあげるか、眼鏡に変えましょう。目の表面全体に涙を行きわたらせるために、意識してまばたきをするのも良いでしょう。
痛みが消えても、目に傷などができていないかどうか、眼科で確認してもらうようにしましょう。
ぼやける・かすむ・くもる1)~4)
コンタクトレンズ装用直後に、ぼやける、かすむ、くもるなど、見えにくい場合は、レンズが汚れている、レンズを左右逆に装着したなどが、原因として考えられます。汚れとしては、化粧品、特に、ファンデーションやハンドクリームによる汚れが多く見られます。お化粧はコンタクトレンズをつけてから、お化粧落としはコンタクトレンズを外してから行うようにしましょう(コンタクトレンズ ファースト)。
ほかに、装用中にぼやけたり、かすんだりする場合としては、コンタクトレンズのフィッティング(装着状態)不良や、目の乾燥、レンズの度数が合っていないことなどが考えられます。結膜炎などの目の病気でも、レンズがくもりやすくなります。
2weekタイプ(2週間頻回交換)など、ケアが必要なコンタクトレンズを使っている方は、まずはしっかりと洗浄してみましょう。
乾燥する1)~3)
パソコンやスマートフォンなどの情報機器(Visual Display Terminal:VDT)を長時間使用して、目が乾燥したという経験はありませんか?じっと画面を見つめ、仕事や勉強、ゲームなどに集中していると、まばたきの回数が少なくなることが多いようです。また、エアコンや扇風機などの風が目に直接あたっていると、乾燥してしまいがちです。コンタクトレンズ装用時の乾燥感には、VDT作業と環境要因も大きく関与しているため、乾燥感の改善には、周囲の環境を工夫することも大切です。
VDT作業時には、まばたきの回数が、通常の半分以下になるともいわれています。意図的にまばたきの回数を増やしたり、コンタクトレンズ装用中に使用できる目薬をさしたりして、目に潤いを与えましょう。また、パソコンのモニター画面を目の位置よりやや下げたり、周囲の湿度を上げるために加湿器を使ったりすることも有効です。
涙が多くなる1),2)
涙が多くなる目の状態は多々ありますが、その1つにドライアイや、環境・作業の特性による目の乾燥があります。目の表面が乾燥すると、それが刺激になって、涙が出てしまうことがあるので、このような場合には、乾燥したり、ゴロゴロしたりしたときと同じ対処法を試してみるのも良いでしょう。前述した情報機器使用時は代表的なものです。
また、冷たい風が目にあたるなどの刺激でも、涙が多くなります。寒い冬に風を切って自転車に乗っていたら、涙が出てしまった、という方もおられるのではないでしょうか。
乾燥していても見え方が悪くなりますが、涙が多くてもやはり見え方が悪くなり、違和感を覚えることがあります。
かゆい、目やにが多い1),4)
かゆみがあって、目やにが多くなった場合、アレルギー性結膜炎や巨大乳頭結膜炎などが考えられます。アレルギー性結膜炎の原因物質(アレルゲン)としては、花粉やハウスダスト、ダニ、ペットの毛やフケのほか、レンズケア用品(消毒剤など)も原因となります。また、巨大乳頭結膜炎とは、上まぶたの裏側に直径1mm以上の大きなブツブツ(乳頭)が多数発生し、炎症が起きている状態です。アレルギー性結膜炎の一種で、コンタクトレンズによる機械的な刺激や、レンズの付着物などに対するアレルギー反応が関与していると考えられています。
アレルギー性結膜炎の症状がある場合には、目やになどの分泌物が多いため、コンタクトレンズが汚れやすくなります。その分泌物がレンズに付着した際、十分なレンズケアが行われなければ、汚れはさらにレンズに蓄積し、結膜炎の症状を悪化させる可能性があります。目のかゆみ、目やになど、結膜炎の症状が見られる場合には、コンタクトレンズの装用を中止し、眼科を受診するようにしましょう。使用し続けることにより、重症化する危険性があります。
目が疲れる2),3)
コンタクトレンズ装用時に限りませんが、長時間目を酷使していると、目が疲れるという方も多いと思います。目は、近い場所や遠い場所を見る時に、ピントを調節しています。そのため、ずっと近くを見ていると、目が疲れてしまいます。
また、集中して物を見ていると、まばたきの回数が少なくなるため、目が乾きやすくなり、目の疲れにつながります。長時間のVDT作業はその最たるものです。
パソコンやスマートフォンなどの情報機器を使用する場合には、連続して1時間作業を行ったら15分ほど休むなど、適度に休憩して目を休ませるようにしましょう。
まとめ
一口に違和感といっても、原因はさまざまです。コンタクトレンズ装用中に違和感を覚えたら、放置せずに眼科を受診しましょう。また、目の健康を守るため、コンタクトレンズは正しく使い、十分ケアするようにしましょう。
<参考資料>
1) 糸井 素純:「あなたは大丈夫? コンタクトレンズ障害」 第1版 マキノ出版, 2000
2) 公益財団法人 日本眼科学会:目の病気
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/
3) 植田 喜一:「眼科スタッフのための CL(コンタクトレンズ)で困ったときに開く本」 第1版 メディカ出版, 2009
4) 植田 喜一:「コンタクトレンズの正しい使い方 ―効果的に/安全に/快適に─」 第1版 メディカル葵出版, 2002