コンタクトレンズをつけたまま寝るリスクとは?寝てしまった場合の対処法は?
作成日:2024/11/13 更新日:2024/11/13
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コンタクトレンズをつけたまま寝てはいけない理由
私たちの体に必要な酸素。肺から酸素を取り込んだ赤血球が、体の隅々まで酸素を運んでいるということを学校で習いましたね。その赤血球が通るのが血管です。ところが、くろ目(角膜)には血管がありません。でも、多くの細胞が角膜で生きて(呼吸をして)います。血管がない、つまり、赤血球が運ぶ酸素を利用できない角膜の細胞たちは、どのように呼吸をしているのでしょうか?
実は、文字通り「目の前」にある空気中の酸素を取り入れているのです。コンタクトレンズは、この、酸素の供給路に介入してしまうので、コンタクトレンズの酸素透過性はコンタクトレンズの重要な性能の1つなのです。
それでも起きているときは、空気と角膜の間にあるのはコンタクトレンズだけなのでまだ良いのですが、寝ている間はまぶたが閉じたままになるので、空気と角膜の間には、まぶたとコンタクトレンズの両方が入ってしまうことになります。酸素が角膜に届きにくくなるのは想像しやすいですね。
角膜が酸素不足になると表面が傷になったり、感染症にかかったりするリスクが高まります。
また、就寝時は涙の状態も変化します。まず、涙の分泌量が低下します。そして、まばたきをしないので涙の入れ替わりも起きにくくなり、目の中の分泌物や汚れなどが洗い流されにくくなるのです。
ただでさえ、まぶたに邪魔をされて角膜が酸素を受け取りにくくなり、涙の洗浄効果も落ちてしまう就寝時。寝るときには、必ずコンタクトレンズを外して*角膜を守りましょう。
*眼科医の処方を受けた連続装用可能なレンズの場合を除く
コンタクトレンズをつけたまま寝たらどうなるの?
万が一、コンタクトレンズをつけたまま寝てしまうと、次のような目のトラブルにつながることがあります。
目の充血、痛み
寝ている間は涙の分泌量が低下します。さらに、まばたきをしないので涙の入れ替わりも起きにくくなり、目やコンタクトレンズの表面を洗う力も弱くなります。そんな状態の目の表面に、1日装用後の汚れたコンタクトレンズがあると、その表面で細菌などが繁殖しやすくなり、目の充血や痛みにつながることがあります。
コンタクトレンズが目に張り付く、ずれる
寝ている間にコンタクトレンズが乾燥して目に張り付いてしまったり、まぶたの奥の方に入ってしまったりすることがあります。
角膜の傷や感染症
酸素不足が続くと、角膜の細胞が弱くなり、傷ができたり感染症にかかりやすくなったりします。感染症は、原因となった微生物や経過によっては、視力障害などの後遺症を残してしまうこともある、恐ろしいものです。先ほど、角膜には血管がないというお話をしましたが、酸素不足が続くとしろ目(結膜)から血管が角膜に侵入するような形で伸びてくることもあります。
角膜の内側の細胞が減る
角膜の内側(眼球の中に接している側)には、角膜の水分を調節している、角膜内皮細胞(かくまくないひさいぼう)という細胞がいます。角膜の表面にいる細胞とは違い、増えることができない細胞なので、もって生まれたものを一生大事に使っていくことになるのですが、角膜の酸素不足が続くと、この大事な細胞が死んでしまうのです。増えることができないので回復することはなく、減ったままの状態が続いてしまいます。この細胞が一定数より少なくなると、角膜の水分調整がうまくできなくなり、角膜が白く濁ってしまい、物がよく見えなくなってしまいます。増えることのない大事な細胞に、そのようなことが起きないようにしたいものですね。
コンタクトレンズをつけたままの昼寝や仮眠も避けたほうがいいの?
コンタクトレンズをしたまま寝てしまったら?
うっかりコンタクトレンズをしたまま寝てしまった!というときには、速やかに外し、目を休ませるようにしましょう。充血や痛みなど、異常がある場合には、速やかに眼科を受診しましょう。
つけたままのコンタクトレンズを外す際に注意すること
コンタクトレンズをつけたまま眠ってしまい、起きたときにコンタクトレンズが目に張り付いてしまって焦ったという経験はありませんか?このような状況になったとしても、無理に外そうとしてはいけません。コンタクトレンズが破損して目の表面を傷つけてしまうと危険だからです。まずは手を石鹸でよく洗い、焦らず落ち着いて外しましょう。外れにくい場合には、人工涙液(いわゆるコンタクトレンズ用の目薬)で目を潤しましょう。ただし、目を潤す際、特にソフトコンタクトレンズの場合は、水道水を使わないでください。
また、ハードコンタクトレンズの場合に多いのですが、コンタクトレンズがずれてまぶたの奥の方に入ってしまい、元の位置になかなか戻せなくなった、という経験がある人もいるでしょう。このような状況になった場合も、落ち着いて対処することが大切です。目の構造上、実際に目の裏側や目の中にコンタクトレンズが入ってしまうことは絶対にありません。
万が一、どうしても自分でコンタクトレンズが外せなくなった場合には、眼科を受診しましょう。また、コンタクトレンズを外そうとして悪戦苦闘しているうちに、目の表面を傷つけてしまっている可能性もありますので、うまく外せた場合も眼科で診てもらうと安心です。