私たちの体に必要な酸素。肺から酸素を取り込んだ赤血球が、体の隅々まで酸素を運んでいるということを学校で習いましたね。その赤血球が通るのが血管です。ところが、くろ目(角膜)には血管がありません。でも、多くの細胞が角膜で生きて(呼吸をして)います。血管がない、つまり、赤血球が運ぶ酸素を利用できない角膜の細胞たちは、どのように呼吸をしているのでしょうか?
実は、文字通り「目の前」にある空気中の酸素を取り入れているのです。コンタクトレンズは、この、酸素の供給路に介入してしまうので、コンタクトレンズの酸素透過性はコンタクトレンズの重要な性能の1つなのです。
それでも起きているときは、空気と角膜の間にあるのはコンタクトレンズだけなのでまだ良いのですが、寝ている間はまぶたが閉じたままになるので、空気と角膜の間には、まぶたとコンタクトレンズの両方が入ってしまうことになります。酸素が角膜に届きにくくなるのは想像しやすいですね。
角膜が酸素不足になると表面が傷になったり、感染症にかかったりするリスクが高まります。
また、就寝時は涙の状態も変化します。まず、涙の分泌量が低下します。そして、まばたきをしないので涙の入れ替わりも起きにくくなり、目の中の分泌物や汚れなどが洗い流されにくくなるのです。
ただでさえ、まぶたに邪魔をされて角膜が酸素を受け取りにくくなり、涙の洗浄効果も落ちてしまう就寝時。寝るときには、必ずコンタクトレンズを外して*角膜を守りましょう。
*眼科医の処方を受けた連続装用可能なレンズの場合を除く