コンタクトレンズは、目の表面とレンズがうまくフィットするように作られています。そのため、レンズの表裏が逆になると、形状が変わってしまい、目にうまくフィットしなくなります。
コンタクトレンズのフィッティングが不良の場合、本来の矯正効果を得られないばかりか、目がゴロゴロするなど違和感を覚える可能性があります。そのため、コンタクトレンズの表裏をきちんと見分けることが重要です。
作成日: 2022/12/13 更新日: 2024/06/20
コンタクトレンズは、目の表面とレンズがうまくフィットするように作られています。そのため、レンズの表裏が逆になると、形状が変わってしまい、目にうまくフィットしなくなります。
コンタクトレンズのフィッティングが不良の場合、本来の矯正効果を得られないばかりか、目がゴロゴロするなど違和感を覚える可能性があります。そのため、コンタクトレンズの表裏をきちんと見分けることが重要です。
まずは、コンタクトレンズを指先の腹にのせて、レンズの縁の形で見分ける方法です。 横から見たときに、レンズの縁がお椀型の自然なカーブを描いていれば表側(正常)、反対にレンズの縁が少し反り返っていれば、裏側(裏返し)です。
表裏識別マークがついている製品の場合は、このマークを使って表裏を見分けることができます。アキュビュー® シリーズのコンタクトレンズでは、”123”という数字*が入っています。*一部対応していない製品もあります。
指先にレンズをのせたときに、外側から見て左から”123”と正しく読み取れる向きが表側(正常)、”321”と反転して見える向きが裏側(裏返し)です。コンタクトレンズに識別マークが記載されていることで、レンズの表裏に迷うことなく装用することができます。
コンタクトレンズは目にしっかりフィットし、角膜(くろ目)からずれないように作られています。そのため表裏を逆に装用してしまうと、レンズがうまく目にフィットせず、見え方が悪くなり、レンズがずれたりはずれたりしやすくなります。また、ソフトコンタクトレンズは、目にしっかりフィットし、装用感が良いのが特徴ですが、裏返しのまま装用していると、ゴロゴロとした異物感や不快感を覚え、目を傷つけてしまうかもしれません。
見え方の悪さは、ケガや事故の原因にもなります。その製品の良さを堪能するためにも、正しい向きで装用することが大切です。
コンタクトレンズの表裏をきちんと確認して装用したのに、それでも違和感がある場合には、目の乾燥や炎症といった目の病気が起きているか、あるいはフィッティング不良や傷・ 汚れなど、コンタクトレンズに問題があることが考えられます。
一次包装開封直後のレンズに傷や汚れがあることはめったにありませんが、1dayタイプ(1日使い捨て)以外のレンズでは、使用しているうちにレンズに傷や汚れがついてしまう可能性があります。また、どのように優れた製品であっても、初期不良が絶対にないとは言い切れません。そのため、違和感があるときには一度レンズを外し、洗浄し直すか、新しいレンズと交換してみましょう。一見、異常がないレンズであってもレンズの中央部などに破損がある場合には、視認しにくいことがあります。
目やレンズに問題がある状態でコンタクトレンズを装用し続けると、症状が悪化することがあります。装用時の違和感が続く場合には、レンズの装用を中止し、速やかに眼科を受診しましょう。
コンタクトレンズは、角膜の上に直接のせて、視力を補正するための高度管理医療機器です。コンタクトレンズの誤った装用方法は、目のトラブルの原因になる可能性があります。コンタクトレンズの装用にあたっては、レンズに異常がないか、表裏を間違えていないか、確認する習慣をつけましょう。それでも目に違和感がある場合は、眼科を受診するようにしましょう。
<参考資料>
1) 糸井 素純 他 編:「コンタクトレンズ眼障害 ひと目でわかるトラブルシューティング」 初版 中山書店, 2006
2) 公益社団法人 日本眼科医会:コンタクトレンズ関連情報
https://www.gankaikai.or.jp/contact-lens/index.html
3) 坪田 一男 他 編:「眼科プラクティス 27.標準コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2009
4) 前田 直之 他 編:「新篇眼科プラクティス 9 必読! コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2023
5) 宮本 裕子:あたらしい眼科 32(5):665-666, 2015
6) 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会:コンタクトレンズとは, 安全に使用するために
https://www.jcla.gr.jp/index.html
7) 日本コンタクトレンズ学会:正しいコンタクトレンズのケア
http://www.clgakkai.jp/general/study.html