感染症を引き起こす可能性がある
安全で安心な水の供給のため、2024年7月現在、わが国の水道水には51項目の水質基準が設けられています1),2)。このうち微生物に関する水質基準項目と基準値としては、「一般細菌」が1mlの検水で形成される集落数が100以下であること、「大腸菌」は検出されないことと定められています1),2)。このように、水道水は滅菌されているわけではないので、微生物が含まれている場合があります。
そのため、水道水でソフトコンタクトレンズを洗浄したり保存したりすると、水中に生息するアカントアメーバや他の微生物が付着し、眼感染症のリスクを高めてしまいます。
また、洗面所や蛇口付近、浴室、トイレなどの水回りには、重症角膜感染症を引き起こす緑膿菌やアカントアメーバなどの環境菌も存在しています3)~6)。目には涙による自浄作用がありますが、コンタクトレンズ装用時にはこの自浄作用が弱まり、目の中で雑菌の繁殖が進んでしまう可能性があります。このため、ソフトコンタクトレンズをケアする際、水道水の使用は避けてください。
レンズが変形する可能性がある
ソフトコンタクトレンズの場合は、レンズの素材自体に多くの水分が含まれています。レンズに水道水が付着すると、レンズと水道水の浸透圧が異なるため、濃度を等しくしようとレンズの水分量が変化し、レンズが変形してしまう可能性があります3)
。変形したコンタクトレンズを装用すると、装用中に痛みや刺激を感じたり、目を傷つけたり、適正な視力が得られない場合があるため7)、ソフトコンタクトレンズを水道水で洗浄したり保存したりするのは避けてください。